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佐賀地方裁判所 昭和60年(わ)102号 判決

本店の所在地

佐賀県唐津市和多田二八三一番地二

法人の名称

有限会社 新富商事

代表者の住所

佐賀県唐津市大名小路四番一七号

代表者の氏名

新富繁雄

本籍

鹿児島県日置郡日吉町吉利九〇三五番地

住居

佐賀県唐津市大名小路四番一七号

会社役員

新富繁雄

大正三年二月二四日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官大木丈史出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社新富商事を罰金八〇〇〇万円に、被告人新富繁雄を徴役二年に各処する。

被告人新富繁雄に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、その二分の一宛を各被告人の負担とする。

理由

(罰となるべき事実)

被告人会社有限会社新富商事は、佐賀県唐津市和多田二八三一番地二に本店を置き、遊技場経営等を目的とする資本金八〇〇万円の有限会社であり、被告人新富繁雄は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人新富繁雄は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外資金を蓄積する方法によりその所得を秘匿した上

第一  昭和五七年六月一日から同五八年五月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額は四億二八七一万五一二円であり、これに対する法人税額は一億七六七一万六〇〇〇円であったにもかかわらず、同五八年七月三〇日、同市千代田町二一〇九番地四六所在の所轄唐津税務署において、同税務署長に対し、その所得金額は一億二八八一万三〇一四円であり、これに対する法人税額は五〇八〇万一〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右事業年度における正規の法人税額との差額一億二五九一万五〇〇〇円を免れ

第二  昭和五八年六月一日から同五九年五月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額は五億一八万九八九〇円であり、これに対する法人税額は二億一一六二万三三〇〇円であったにもかかわらず、同五九年七月一七日、前記唐津税務署において、同税務署長に対し、その所得金額は二億三八一二万九三一二円であり、これに対する法人税額は九八一七万九五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右事業年度における正規の法人税額との差額一億一三四四万三八〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官(二通)及び大蔵事務官(六通)に対する各供述調書

一  被告人作成の申述書(二通、検九三、九四号)及び上申書(二通、検九五、九六号)と各題する書面

一  新富アヤコの検察官及び大蔵事務官(一五通)に対する各供述調書

一  新富アヤコ作成の上申書(四通、検一八ないし二一号)と題する書面

一  新富繁雄の検察官及び大蔵事務官(三通)に対する各供述調書

一  新富芳和の検察官及び大蔵事務官(三通)に対する各供述調書

一  新富哲也の検察官及び大蔵事務官(三通)に対する各供述調書

一  新富アキエ及び新富純徳の大蔵事務官に対する各供述調書

一  井上章の検察官及び大蔵事務官(二通)に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の「脱税額計算書説明資料」(検四二号)及び「査察官調査書」(一七通、検四三ないし五九号)と各題する書面

一  高畠由弘(検六〇)、加藤駿次(検六一号)、田沼敬司(検六二号)及び権田重夫各作成の「証明書」と題する書面

一  大蔵事務官作成の「査察官調査書」と題する書面(検八五号)

一  検察事務官作成の電話聴取書(検二号)

一  登記官作成の登記簿謄本(検八六号)

一  大蔵事務官作成の「脱税額計算書」と題する各書面(二通、検四〇、四一号)

一  押収してある債券の管理メモ七枚(昭和六〇年押第三三号の一)、郵便貯金管理メモ六枚(同押号の二)、組合長手帳一冊(同押号の三)、昭和五八年度総勘定元帳一綴(同押号の四)、総勘定元帳五綴(同押号の五ないし九)、日計表六綴(同押号の一〇ないし一五)、有限会社新富商事の確定申告書二綴(同押号の一六、一七)

(法令の適用)

一  判示所為 法人税法一五九条(被告人会社には更に同法一五九条二項、一六四条一項)

一  併合罪 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項(被告人会社につき)、(重い判示第一の罪の刑に加重)

一  執行猶予 刑法二五条一項(被告人新富繁雄につき)

一  訴訟費用 刑事訴訟法一八一条一項本文

(裁判官 早舩嘉一)

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